天ぷら一宝【美炭酸だよりバックナンバー | 2018年冬号】
2023.05.10皆さん、「150年前」と言われると何を想像しますか?
そう、もちろん「奥会津金山 天然炭酸の水」が文献に登場した頃ですよね。
そこから更にさかのぼって、江戸時代。
なんと、1850年頃大阪で創業された老舗「天ぷら一宝」さんの東京店に伺いました!
入口の引き戸をあけると、和の雰囲気を随所に残しながらも、モダンな店内。
天井も高く、華やかなのに、どこか落ち着く雰囲気です。
そして一宝さんの最大の特徴と言えば、
「紅花油を使って揚げる」ということ。
実は、天ぷらの油にも地方差があるってご存知でしたか?
もともと関東ではごま油、関西ではいわゆるサラダ油などを使用することが多かったのだそうです。
「ごま油で揚げると、香ばしい天ぷらになるけれど、くどいと感じる人もいる。
紅花油で揚げると、口当たりも軽いし、淡いほのかな味も伝わりやすい。
素材の風味が生きるんです」とは、店主である関さんの言。
その証拠に、店内で油の匂いがしないでしょう、と言われてハッとしました。
…たしかに!目の前で調理されているにもかかわらず、
揚げ物のお店などでよくある「あの」匂いが全くしないのです!
それほど「素材の味」を活かした料理となると、やはり一緒に飲む炭酸水も自然のものが良いですよね。
関さんが「奥会津金山 天然炭酸の水」を知ったのは偶然だったそうですが、初めて飲んだ時「美味しい水が、そのまま炭酸水になっている」と思ったそうです。
炭酸も強すぎず、弱すぎず、この水は日本人好みの水だと思う…とのお言葉までいただいてしまいました!
さて早速、目の前で揚がった天ぷらを…いただきます!
ぎゅっともっちり生麩や、甘味あふれるホタテなど、素材の美味しさが、薄付きの衣にしっかり守られた天ぷらの数々。関さんの言うとおり、本当に天ぷらが軽い!
「奥会津金山 天然炭酸の水」の微炭酸具合とも合いますし、いくらでも食べられてしまいそうです。
天ぷら鍋から聞こえる、ぱちぱちという音をBGMに、至福のひととき。
そろそろお腹いっぱいになる頃ですが、〆の天茶漬けも外せません。
天ぷらにお茶がしみ込んで、柔らかくなったところに、わさびが効いて…もう!
全体を通してさくっと軽いので、胃がもたれる心配も全くありません。
次々と目の前で食材が揚がっていく様子は、見ているだけでも楽しいもの。
ついつい会話も弾んでしまいます。接待に使われることが多々あるというのにも納得ですよね。最近では、海外からのお客様も多いのだとか。
ちなみに個室を選んでも、職人さんが目の前で揚げてくれるとのこと。
これなら、不意にドアを開けられて…などということもなく、ゆったり食事や会話を楽しめますよね。ご家族や、大切な人とのひとときを、大事にしたいという方には、まさにうってつけ。
お客様へのサービスを突き詰めたらこうなった、という言葉には、さすが老舗…!と唸るばかりです。
ところで、一宝さんのお客様といえば、こんな話をご存知でしょうか?
実は元々、一宝さんは「天寅」という名前でした。
ここで登場するのが、戦前期当時の常連客、
阪急東宝グループ創業者である小林一三氏。
増店の際に、「店が1つ増えるというのは、宝物が1つ増えるということ」だと励ましたのだそうです。この言葉からとって「一宝」と改名。
ちなみに、これにはもう一つ、小林一三氏の「一」と宝塚の「宝」をとって「一宝」とした、という説もあるそうですよ。
どちらにしても、お客様に愛されてきた歴史が垣間見える話ですよね。
老舗ならではのおもてなし、愛され続けるその秘密を、あなたも体感しに行ってはいかがでしょうか。